中小企業などにおいて
企業にとっては、優秀な人材は一人でも多くほしいところです。
大企業や有名企業において、人材は募集をかければ数十倍~数百倍にもなるほど集まってくるものですが、中小企業などにおいてはそういうわけにもいきません。
特に研修などで、新人の教育・育成に十分時間や費用をかけることができないような小さな企業においては、別の企業で十分な経験を積んだキャリア人材はまさに願ったりかなったりという人になります。
しかし十分にキャリアやスキルのある人材であっても、採用をすることによりむしろ企業に悪い影響が起こってしまうこともあります。
今回はキャリアのある人材を採用してしまったことで起きた人事の失敗について紹介していきます。
地方の某中小企業での中途採用失敗例
A社は地方にある中堅企業であり、製造工場では近隣の工場から受注を受けて、オーダーメイドの器具を製作・販売することを主な業務にしてきました。
しかし創業者が昔ながらの職人気質であったこともあり、技術力は高いものの営業的なアピールが苦手であり、そのためうまく受注に結びつけることができずに、売上の減少に悩んできました。
そこでより広く顧客を開拓するために、ベテランの営業マンを採用することにしました。
A社の仕事は通常の営業と違って、受注するために商品知識や技術的な知識が必要となるため、新人を一人前に育てるまでには大変な時間がかかってしまうのです。
そこで、経験者を募集したところ、それまで同じ業界の大手企業に勤務していたというB氏が応募してきました。
さすが大手企業出身者らしく、商品知識も豊富で貫禄も十分であったこともあり、人事担当者は社長に将来の幹部候補としても有望と、期待を大きく推薦したのでした。
ところが、実際に勤務することになったB氏ですが、、それまで自分の行ってきた方法以外のやり方ではダメだと、同僚の営業マンにいきなりダメ出しを始めました。
しかし、長年A社では特定の方法で営業管理をしてきたこともあり、B氏のやり方は完全に受け入れられません。
すると「前の会社はこうだった」「前に自分はこんなにうまくいった」というようなことを説教まじりに話出すようになり、すっかり社員の間で浮いた存在になってしまいました。
キャリアの高さは認められるものでしたが、そこから全く伸びしろのない人材であることが数ヶ月で明らかになってしまい、結局B氏は一年も立たず退職ということになってしまいました。