採用実務において
人を採用する側の人事部ですが、実際の仕事においては他の部にはないような悩みが多数あります。
仕事をする以上はどうしてもあとから成否がわかるものですが、せっかく時間と経費をかけて少数精鋭を採用したつもりが、期待していた新人に数ヶ月もたずに辞められてしまうというのはまるでそれまでの努力が全く水泡に化すという大変にむなしいものです。
ですがそれよりももっと悩みとして大きなのが、採用実務においてとる態度がのちに企業全体のイメージとしてつながってしまいそれ以降の採用活動の大きな障害になってしまうということです。
単にイメージが悪くなるだけでもかなりの大打撃なのですが、場合によってはそれによって訴えられることもあるので慎重のうえに慎重をきす必要があります。
中でも注意が必要なのが、採用のときに応募者に対しての質問の内容です。
例えば面接前に履歴書を見て、滅多に見ないような珍しい名字の人がいたとします。
世間話程度でもよく、珍しい名字から「ご出身は?」というようなことを聞くことはありますが、それを採用の現場でやってしまうと出自を問うたと解釈をされてしまい、不採用とした場合にそれを理由に訴えを起こされてしまう可能性があります。
採用面接の場面
他にも採用面接の場所で尋ねてはいけない質問とされているのが、「本籍・出自に関すること」の他「家族に関する情報(職業、続柄、健康、資産状況など)」、「住宅状況に関すること(持ち家、アパート、間取りなど)」、「その他生活環境や居住環境、家庭環境に関すること」となっています。
これらはどのような職業であっても、採用面接の場面で行うのは適切ではない質問として挙げられているので、もし家庭環境や居住環境を参考に本人の人格を決めるつもりでなくとも質問したこと自体が問題にされてしまうこともあります。
また本人の思想・信条に関する事項である「宗教」「支持政党」「人生観・哲学観」「過去の社会活動歴」「購読新聞・雑誌・会誌など」といったことも、基本的には尋ねてはいけないものとされています。
ですがこれについては最近もすこしニュースになってきていますが、例えば社内研修として特定の宗教的な方式の啓蒙を行うこともあり、そこまで新入社員は拒否ができるのかということが問われてきます。
一見そうしたことは本人の思想・信条を侵すことのようですが、例えばキリスト教系の大学に入ってキリスト教に関する授業単位がなければ卒業できないというのはしごく当然のことであるので、入社面接の時点で研修内容を受けられるかどうかを問うことまでは違法とはいえないのではないかとされています。